感染管理認定看護師の役割や仕事内容

感染管理対策に関し、高度な専門知識や実践する技術があることを日本看護協会により認められた看護師を「感染管理認定看護師」と言います。感染管理認定看護師は、感染に関する専門的な知識を持つ医師をはじめ、看護師・検査技師・薬剤師などで構成される感染制御チームの一員として仕事をすることもよくあります。この感染制御チームはICTと呼ばれることもあります。

そんな感染管理認定看護師として活躍する場合、まず医療関連感染サーベイランスを実践することになります。医療関連感染サーベイランスとは、院内での感染症の発生状況や変化を注意深く、また継続的に観察し監視することです。

サーベイランスをすることにより、実施している対策の効果が出ているのかどうか、修正したほうが良いのかなどを判定することができます。医療関連感染サーベイランスをする時には、他の医療機関の院内感染事例や、自らが担当している医療機関での現在の感染防止対策の状況などをきちんと把握しておく必要があります。

それらを照らし合わせて問題がなければ、その旨を報告し、そのままの対策を続ければ良いでしょう。しかし、問題点に気がついた時には、問題点を報告しなければなりません。そして自らの専門知識を生かし、問題点を改善するための管理システムの構築などの提案をしたり、一人一人が注意しなければならないことの再確認などをしたりします。この時には医者や看護師など、自分以外の医療従事者に相談することも必要になってきます。

この他、改善点や改善方法、感染を広げないための知識や実践する技術などを他の医療従事者に伝えるべく、自ら院内研修を主催しなければならないケースもあります。そのため、自分自身で問題点を考え、医療機関全体をマネジメントする能力が必要になってきます。

認定看護師などの上級資格の取得を推し進める背景

看護師には、認定看護師や専門看護師など様々な上級資格があります。大学院卒業単位の修得が必要な専門看護師より、実務経験を経て研修を受ければ取得できる認定看護師の資格の方が取りやすい傾向にあるため、多くの看護師がチャレンジしています。

認定看護師になれば、特定分野の高度な看護技術を駆使して、現場の看護職を指導し、相談に乗る立場に立てるようになります。認定看護分野は、救急看護や集中ケアなど21項目に及んでいます。中でも、感染対策の専門家として大規模な感染が生じた際に活躍できる感染管理認定看護師は、社会情勢的にも必要な人材として注目されています。

その1つである感染管理認定看護師は、感染対策に関する高度なスキルを生かし、医療関連感染サーベイランスを実践したり、感染予防の対策を講じたりします。日本看護協会は、感染管理認定看護師の拡充に力を入れており、A課程認定看護師教育機関の定員数の増加とB課程認定看護師教育機関の新規開講に向けて支援している現状があります。ちなみにA課程認定看護師教育機関とは特定行為研修のプログラムがない教育機関を指し、B課程認定看護師教育機は特定行為研修のプログラムがある教育機関のことを言います。

特定行為研修とは、医師の包括的指示さえあれば看護師が独自の判断で医療行為を行える資格のこと。本来、看護師の業務は医師の補助的行為のみ許されており、医師の具体的な指示が無い限り看護師の裁量で医療行為を施すことは認められていませんでした。しかし、高齢化による患者の増加や人材不足の深刻化に伴い、看護師の業務範囲の拡大やスキル向上が求められる形となり、特定行為研修が導入される流れになりました。